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創業者座談会

起業と「創業プラザあいち」を利用したきっかけは何ですか?

 

大津

離婚をして、育児をしながら働こうとしたときに、正社員として雇ってもらうのは、非常に難しかったんです。
「子どもに何かあったときに、預けるところがあるの?」と言われ、落とされ続けて。だから生きる手段として起業にたどり着きました。「創業プラザあいち」は、母子支援センターの相談員の方に教えていただいたんですよ。

松井

実は、私もシングルマザーなんです。「行政書士試験に合格したら、独立するんだ!」と心に決め、子育てしながら資格を取得しました。ありがたいことに正式に事務所登録をする前から、紹介や口コミで次々と依頼をいただき、好調なスタートを切ることができました。「創業プラザあいち」を利用したきっかけは、先輩女性行政書士の紹介です。目の前の業務に精一杯で、施設をあまり利用せずに卒業してしまいましたが。今の私があるのは、小坂先生を始め、応援してくださった方々のおかげです。

岡田

私は3年前に、会社員としてFP(ファイナンシャル・プランナー)の資格を取りましたが、入社時から、いずれは独立しようと考えていました。一方で、ひとりでやっていけるか不安で。でも、独立されているFPの方々のお話を聞きに行ったら、バックグラウンドなしで、いきなり他業種から始められた方が多かったんです。
「誰でも経験なんて、ないところから始まるんだよ。やればできる!」と背中を押してもらいました。「創業プラザあいち」利用のきっかけは、水田小緒里さん(創業プラザあいちOG)に誘われて行ったセミナーコンテスト。そこで、小坂先生にお会いして、鋭い質問をぶつけていただいて。そういう厳しさが私には必要だなと感じて、入居を決めました。

 

女性として起業することにメリットは ありましたか?

 

松井

士業の世界は、男性社会なんですね。だから、女性というだけで有利。10人のうち私以外の9人が男性だったら、断然覚えてもらいやすい。相談を受ける際も、女性ならではの問題、離婚とか、お姑さんとの関係がからんだ相続などは、男性の先生より話しやすいと言っていただけます。

大津

女性だから優遇される場面は数多くありますよね。異業種交流会に行くと、男性が圧倒的に多い。そういう場で、「力を貸してあげるよ」という人に出会えるのは、きっと目立つからだと思います。
私の会社は業務内容が家事やお掃除の代行ですから、母親や主婦としての経験をもとにお客様やスタッフにアドバイスをしたり、社会に対して提案をしたりできるのも、メリットですね。

 

「創業プラザあいち」が事業において役立った点は何ですか?

 

大津

語りつくせません。
「創業プラザあいち」は、私にとって、心の支えになっている我が家のような存在。「創業準備スペース」を卒業した後も仲間に発注をしたり、仕事を紹介しあったり。“家族”なら当たり前のことを実際にしています。

岡田

そうそう。「創業プラザあいち」は心の拠り所ですよね。 それから、私は、あいち産業振興機構で企画された「創業ビジネスプラン発表会」に参加したことが、事業の原点になりました。小坂先生に資料やリハーサルを何度も見ていただいて、プランをブラッシュアップできましたから。私と大津さんは、発表会に出ていたことが営業PRに繋がり、名古屋市の河村たかし市長から委嘱を受けて、外郭団体経営検討委員会の委員もさせていただいているんですよ。

大津

他に、伊賀市商工会の創業塾などからも、女性起業家としての講演のお話をいただくようになりました。発表の機会をいただいたことには、心から感謝しています。

小坂

プレゼンテーションセミナーで、しっかりと勉強されたからこそ、次に繋がっているのだと思います。プレゼンテーションは、ビジネス自体を磨かないと限界がある。発表会も1年目が好評で、2年目と続き、発表したみなさんが少しずつ成果をあげられて、本当によかったと思っています。。

 

事業開始後にはどのような苦労がありましたか?そして、その解決策は?

 

岡田

始めは、お金がない、仕事がない、誰も知らない(笑)。それで、前に勤めていた会社へ相談に行きました。ありがたいことに、退社後も応援してくださる社長さんだったんですね。「私の会社の名前を使って、今まで通りにやればいい、報酬は自分のものにしていいから」と。そうして仕事をしているうちに、口コミで少しずつ仕事が広がっていきました。最初のころは、とにかく人に会えば「独立したけど、どうやって仕事を探そう」って、相談していました。今があるのは、仕事を紹介してくださった周りの方々からの温かい応援があったからです。

松井

私は、行政書士のアシスタント経験がないことで苦労しました。書類の書き方ひとつ知らなくて。行政書士がお手伝いするものって、一般の方が役所で記入するものでしょう。始める前は、見てわからないことはないだろうって、高をくくっていました。甘かったですね。「役所の方がこんなことをおっしゃるんです。どうすればいいんですか」と半泣きで小坂先生に電話したこともありました。でも私は仕事を終えるたびに、必ず復習、反省をするんです。ひとつの恥もひとつの失敗も、次には財産になりますから。

小坂

大津さんも、何か乗り越えられたことはありますか。

大津

事業開始直後に、無名な会社をPRしようと、売上金をそのまま事業に投資するということを繰り返して、資金ショートしてしまったんです。そのとき、身近な人たちが助けてくれた。一番は母です。一生懸命やっているのにうまくいかなくて、やせていく娘を見て、お金を出してくれたんです。姉も大手出版社での安定した地位を捨てて、アルバイトとして入社し、近くで支えてくれました。
また、事業開始後しばらくして、人材育成の問題も起きました。私が求めていることとスタッフの思いとが離れてしまい、スタッフが辞めてしまったんです。言い訳をしちゃうと、資金が潤沢ではない中、経営者として、まず会社にお金を入れようと大手企業の講師として全国を飛びまわっていたんですね。できたばかりの会社で何をすればいいのかわからないスタッフを置き去りにして。なのに、行って来い、やって来いって、追い立てた。完全に離れていってしまいましたね。その反省を踏まえ、それからは一人ひとりと向き合うことを心掛けました。

小坂

お母さんに資金援助してもらった後、根本的な解決策を考えていなければ、今に至っていないと思うのですが、どんなことが立て直しの要因となったのでしょうか?

大津

当時は、1パックの納豆を“豪華なご飯”と言いながら、息子と2人で分けて、何日間も食べたりしてたんですね。だから、そのお金を食費などに使っても、母は何も言わなかったと思います。でも、私は起業家ですから、もう1回、事業に投資したんです。私は、全国に仲間がほしかった。そこで、ひらめいたのが、全国の仲間が集まりやすい場所をつくればいいんだってこと。それまでは、ワンルームのぼろぼろのアパートが事務所でしたから、お金は全部、名古屋駅前に事務所を移す資金にしました。息子には、「お母さんがんばるから見てて!」って。
家賃はそれまでの5倍。経費はそれなりにかかってくるんです。でも、売上はそれ以上に。それまで、コツコツとやってきたことが芽吹いて、NPO法人日本ハウスクリーニング協会からも認めていただき、事務所は協会の名古屋アカデミーとして全国から仲間が集まる場になりました。移転して大正解でした。

 

10年後にはどんな会社になっていますか?

 

大津

10年後と言わず、一生をかけて“女性の働く場の提供”と“働く女性の支援”を続けます。それが私の使命だと思っていますから。その取り組みのひとつが、「お掃除お片づけ講師」の養成。これから3年の間に、47人の講師を育てて、年200回の「お掃除・お片づけセミナー」を開催していきます。お掃除は、子どもの思いやりの心を、お片づけは、判断力を養うんですよ。それを伝えていきたい。
それから、家事代行のプロを育成します。お母さんが「私は家事のプロなのよ」という背中を子どもたちに、ばんばん見せてほしいんです。お母さんが元気だと、子どもたちも、いきいきしますから。2010年の7月には、本も出版します。

小坂

使命を感じるっていいですよね。私も一生の仕事にしたいものがいくつかありますが、そう思えるのは、幸せなことですね。 松井さんの10年後のビジョンは?

松井

必ず法人化します。そして、高齢者向けワンストップサービスを実現したい。行政の手が届いていない部分をサポートしていきたいんです。
NPOでの任意後見制度の相談窓口として、少しずつお手伝いをさせていただいているのですが、他の士業や他業界の方々から「それは食べていけない分野だよ。ボランティアでやるんでしょう」って言われてます。だからこそ、それを仕事にしたいですね。

小坂

日本はいわゆる社会起業家が育たないといわれていますが、裏返せば、第一人者になれる可能性があります。そのためには、ひとりで抱え込まないこと。他にも理念を持って活動している方がいらっしゃるので、そういう方を仲間にしながら、士業の枠にとらわれず、活躍していただきたいと思います。

岡田

松井さんは、高齢者の支援とおっしゃいましたが、私は同世代、30代シングル女性の“経済的な自立”を支援したいと思っています。私たちは、結婚、出産、育児などで、いったん職場を離れるかもしれない。だから、再復帰するときにサポートできる環境を作りたいんです。 その一環として、「しなやかライフスクール」という交流会を立ち上げました。2カ月に一度、みんなで交流しながらコミュニケーションやマネーや食などについて勉強しています。将来的には、そのメンバーから士業などの方を集めて、専門家のワンストップサービスを始めたい。今は参加者のほとんどが女性ですが、将来は男女比一対一くらいの専門家集団にするというビジョンがあります。

小坂

みなさん、しっかりとした構想をお持ちですね。私は、毎年「達成リスト」を作っています。それぞれの達成項目について、自己評価で三段階の星印をつけて。1年の成果を表にするだけで、自分の成長をものすごく実感しますよ。これを来年、別の創業支援機関でやろうかなと考えています。駆け出しだった人たちが、頼もしくなるのを見るのが、この仕事の面白さでもあって。実際にその人が何をして変わったのかを実感していただくツールとして、採り入れてみようかと思っています。

 

起業を考えている方へのメッセージをお願いします。

 

岡田

自分のなりたい理想像があったら、それでそれで成功されている方がどういう道を歩んで来たのかまずは聞いてみることが大事だと思います。自分のビジネスプランもどんどん人に見せて、意見をもらう。その過程で漠然としている自分の方向性が見えてきます。起業を迷っている方は、いろんなリスクを考えて動けなくなっていると思うので、話を聞いて、これはいける、これはいけないって整理して。そういう意味でもここは、たくさんの意見が聞ける場所なので、活用していただきたいですね。

松井

私は、今から起業しようとしている方々からも、自分が知らないことを貪欲に学びたいと思っているんです。時代の流れは速いので、私たちが起業したときと、融資の段階から全然違うでしょうから。「創業プラザあいち」に来て、情報発信してください。

大津

「創業準備スペース」に入居する人は、本気で動いている人。だって、事業計画の審査もあるし、先生方の厳しいコメントもあるんですよ。でも、「いいよな」で終わったら目の前の景色は変わらない。だから一歩動くために、ここに来て、仲間やいい先生を見つけてください。思い描くだけではなく、言うだけではなく、動けば変わります!

小坂

その通りです。私の創業支援の仕事でのテーマは“起業家の自立”です。「創業プラザあいち」が移転前、産業貿易館にあったときに、入口にドアがありましたよね。そこで、開けようかどうしようか悩んでいる方が結構いらっしゃった。でも、私はドアを開けに行かなかったんです。あのドアを開けるという行動を起こすことが、起業を志す方の貴重な第一歩になるかもしれないからです。創業支援の仕事をする中で、手取り足取り教えたり、お客様を紹介したりといったことはあまり意味がないと考えています。一人ひとりが、不安や恐怖と闘いながら、自分の力で一歩を踏み出すことが大事だと思っています。

今日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。これからもどうぞ、「創業プラザあいち」をご利用ください。
皆さまのご活躍を応援しています。